初代B級グルメグランプリの「富士宮やきそば」、ご存知ですか?
この「富士宮やきそば」はなぜ売れたのか?
初代B級グルメグランプリの創立者、渡辺英彦氏の記事を参照しながら、紐解いていきたいと思います。
売れた富士宮やきそば
B級グルメの「富士宮やきそば」と言えば、今やほとんどの方が知っていると思います。
それだけ世間で認知されているということは、言い換えると、それだけ売れた、ということになります。
B級グルメグランプリの創立者、かつ、富士宮やきそば学会を立ちあげた、他ならぬB級グルメグランプリのパイオニア「渡辺英彦」氏はこう語ります。
『新聞、テレビ、ラジオに雑誌、マスコミに登場した回数は優に500回を超え、各地での講演回数は1,000回近くにもなった。
それ程までに「富士宮やきそば」は売れた(ブランド化した)のである。それは一体何故なのか?』
『富士宮やきそばが他の地域のやきそばと比べて特徴があり美味しいからなのか?それならば、とっくの昔に有名になっているはずではないか!
知名度向上という現象は明らかに富士宮やきそば学会誕生以降のことであり、様々なデータがそれを裏付けている。
だからといって私は、富士宮やきそば学会の力だけで富士宮やきそばのブランド化が成立したと言っている訳ではない。』
出典:http://moweb.jp/foodvalley/cont101_003_002.php?kmws=14ms9862l5olhkl6pimku31a37
「富士宮やきそば学会」という、その名称だけで話題にしたくなるようなネーミング。そして、そのネーミングに負けないやきそばへの探究心。
「富士宮やきそば学会」が果たした役割は確かに大きいと思います。
しかし、渡辺氏は謙虚に、それだけでは売れた理由を語れない、と述べています。
ジェローム・マッカーシーのマーケテイング4Pミックスの理論
渡辺氏は、自身の成功をこう振り返っています。
一つの理由だけで継続的にものが売れるということはない。
ジェローム・マッカーシーのマーケテイング4Pミックスの理論が示すように、商品(製品):productがあるだけではだめで、流通:place、手頃な値段price、売り込み:promotionが噛み合って初めて売れるのである。
さて、ここで出てきたジェローム・マッカーシーのマーケテイング4Pミックスの理論とはなんぞや?ということで、少し調べました。
(出典:http://www.innovetica.com/resource_01.html)
マーケティング戦略を実施するためのツール。1961年にアメリカのマーケティング学者のジェローム・マッカーシーが提唱したもの。
■製品(Product)
よい製品は何もしなくても売れると思われがちですが、今日の競争の激しい市場では、そもそも悪い商品などは多くありません。
企業は単によい製品を作るだけではなく、製品を顧客にどういうふうに使ってもらいたいのか、顧客のニーズを満たすためにどのような特徴を持っているのかなどを定義しておく必要があるわけです。
ここには、製品もしくはサービスの機能、品質、デザイン、パッケージ、ブランド名、アフターサービス、保証などが含まれます。
■価格(Price)
価格とは、顧客が製品と引き換えに支払う金額になりますが、重要なことは、顧客が見いだしている製品の価値によるということです。
一方で、高価格をつけることで製品の価値を高く見せるという側面もあり、一筋縄ではいきません。
定価からの値引きや支払い条件、リベートなど、さまざまあります。
■流通(Place)
流通の要素としては、チャネル、チャネルの動機付け、市場範囲、品揃え、店舗の立地、輸送方法などがあります。
基本的には、適切な流通経路、適切な時間、適切な量を提供することが目標となります。
■プロモーション(Promotion)
ここには、広告、PR、セールス活動、ダイレクトマーケティングなど、販売促進に関する活動が当てはまります。
この4Pというマーケティングを持ち出すところが、元外資系損害保険会社に勤務していた渡辺氏ならでは、と感じます。
キーワドは、地域文化の再発見
この4Pをどのように富士宮やきそばに当てはめたのか?については、渡辺氏は以下のように述べています。
地域独自の美味しいやきそばがあった(発見した) ということが勿論大前提であるが、それが地域の多くの庄で克られており、富士宮の場合には駄菓子屋という販売チャネル=placeをベースに普及したため、非常に安くて手頃な値段で提供され続けているのである。
そしてこの3Pが既に揃っているところに富士宮としての価値があり、その3Pの存在を土台にして2000年に活動promotionを開始したのが富士宮やきそば学会なのである。
地域活性化のための素材の発見ということが叫ばれて久しいが、productの発見のみではブランド化は図れない。
Place、priceまでも含めて素材の発見なのである。
言い方を変えれば、単なるモノではなく地域文化の再発見なのだ。
安直な新メニュー開発とは一線を画すものであることを強調しておこう。
この渡辺氏の言葉は非常に示唆に富むと思う。
何も富士宮やきそばに限った話ではなく、あらゆるビジネスに共通することだと思う。
例えば、海外で大ヒットしたから日本に持ってくれば売れる、というような「Product」のみに焦点を絞った考えでは、モノは売れないのも然り。
某国内電機メーカーが多機能・クオリティーのみにこだわり続けた結果、海外では全く受け入れられなかった、という事例も然り。
挙げていくと枚挙にいとまがない。
この富士宮やきそばの事例は、ビジネスを立ち上げる際の一つのヒントになるのではないか。