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風邪を引いたらとりあえず風邪薬を。そんな使い方をしていませんか?
ヘッド

風邪を引いてしまった時に、適切に対処するためにも、
・風邪の原因は?
・風邪の症状の本当の意味は?
・風邪薬の目的は?
といった内容を整理してみました(管理人は医療業界で働いております)。


風邪とは?

風邪(かぜ)は、正式には「風邪(かぜ)症候群」といって、上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称で、一般的に成人では年に3~4回かかるといわれています。

鼻水、鼻閉、のどの痛み、咳、発熱などの症状が一般的で、普通は一週間程度で治りますが、細菌感染を合併すると肺炎、中耳炎、副鼻腔炎などを起こすこともあります。


風邪の原因

風邪の原因はその9割以上がウィルスによるものです。

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ウイルスが粘膜から感染して炎症を起こすため、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱といった症状が起こります。

そのウィルスの種類ですが、実に200種類以上もあるため、実際にはどのウィルスが原因で風邪が引き起こされているかは分かりません

そのため、風邪に対する治療には、基本的に抗ウィルス薬が処方されることはありません。

風邪(かぜ)の原因|からだの症状|くすりと健康の情報局

出典:第一三共ヘルスケア http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/01_kaze/index1.html

一方で、インフルエンザなどの重篤化する感染症の場合には、ウィルスの型を特定して、抗ウィルス薬(タミフルやリレンザなど)を処方することになります。


風邪の症状と本当の意味

風邪の原因のほとんどはウィルスによる感染です。ウィルスの感染経路は主に鼻や喉の粘膜です。

ウィルスは我々の細胞に感染すると、自らのDNAをどんどん複製していき、爆発的に増殖しようとします。

しかし、我々人間もそれを黙って観ている訳ではなく、あの手この手を使って、鼻や喉の粘膜に付着したウィルスを体外に排出しようとします。

風邪の諸症状である、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、咳やたんなどは、このウィルスを体外に出す手段なのです。

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そして、発熱はウイルスの侵入によりからだに異変が起こったことを知らせると同時に、自分で自分の体を治そうとする免疫の働きが活発になっているサインです。

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出典:第一三共ヘルスケア http://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/01_kaze/index1.html

風邪を引くと、発熱、喉の痛み、鼻づまりの症状を悪と位置づけて、その症状を治そうとしてしまいがちですが、実は全くの逆効果
これらの症状はむしろ、ウィルス退治に必要な体の自己防御反応なのです。


風邪薬の目的

そうなると、発熱、咳、鼻づまり、に効くと謳われて販売されている風邪薬の意味は?という疑問が生まれます。

実は、風邪薬の目的は、風邪の完治ではありません。風邪による諸症状の緩和、が目的です。

実際に市販薬の効能・効果をご覧になれば分かりますが、風邪を治すとは書かれていません。
(そんな事を書いていたら、薬事法違反になります)。

ちなみに、病院に掛かった際に、抗生物質を処方されることがありますが、これも風邪の完治を目的としていません。風邪による二次的な細菌感染を治すための処方です。

既に述べている通り、風邪を治せるのは、抗ウィルス薬(例えば、インフルエンザに対するタミフルのように)になります。


風邪はどうやって治す?

ここまで読まれた方は既に分かっていると思いますが、結局、風邪に対する根本的な治療薬はありません。そもそも治療薬が不要なためです。

ということで、風邪を治すことができるのは、「自分の免疫機能」だけです。

従って、風邪を一番早く治すためには、自己免疫機能を働かせるための「食事、水分、睡眠」。これが最も有効な手段です。


まとめ

医者や薬剤師は、風邪を引いても薬を飲まない、という話をよく聞きます。
あの話は半分真実であり、半分嘘でもある、と私は思います。

実際に私の周りの薬剤師も薬は飲んでいます。ただ、風邪の原因を知ったうえで、です。

例えば、風邪を治すためではなく、風邪の症状を和らげるために飲んでいたり、免疫を高めるような漢方を飲んでいたり、と適切な使い方をしています。

風邪を最も早く治す方法は、しっかりした食事と十分な睡眠ですが、仕事をしながらですと、どうしても休めなかったり、風邪の症状を一時的に抑えたい場合もありますよね。

そんな時に、解熱剤や鎮咳剤などの風邪薬が活躍してくれることになります。

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風邪を治す特効薬ではありませんが、我々の生活をサポートしてくれる面では、風邪薬は心強い味方です。

私は風邪を引いた場合、早く治したい場合には薬は飲まずにとにかく寝ます。
でも、仕事が休めない場合などは、就業時間は風邪薬で一時的に症状を抑えるといった使い方をしています。

【関連記事】眠気が出ない風邪薬はあります。仕事を頑張るサラリーマンの方々へ。

インターネットで検索していると、風邪薬に対する悪評も目にしますが、少々偏っている見方だなと思います。

要するに「どんな目的で風邪薬を使うか?」なのだと思います。

この記事を読んでいただき、今後の風邪との付き合い方の参考になれば幸いです。

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