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FRBの次期議長に指名されたイエレン氏の経済政策のヒントは意外なところにあったのをご存知ですか?

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イエレン氏と言えば、雇用政策に非常に熱心。そして、雇用手段の一つの方法が、「給料を上げること」。

実は、ベビーシッターの求人広告がヒントになっています。
調べてみると、興味深い内容でしたので紹介いたします。


イエレン氏の政策のヒントは、ベビーシッターの求人広告

イエレン氏と夫のアカロフは、1981年に二人の職場であったカリフォルニア大学バークレー校で興味深いベビーシッターの求人広告を出しています。それは、

FACULTY COUPLE seeks child care person 20-40hrs’ week for whole academic year. Job begins Sept.15 Good pay. Call George Akerlof or Janet Yellen Akerlof.

注目すべきは、「Good Pay」です。

つまり、通常よりも高い賃金を支払うという求人広告です。

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出典:http://news.infoseek.co.jp/article/markethack_51895392?p=2

質の高い成果に対して、高い賃金が支払われるのが一般的な論理ですが、それとは逆の発送で、高い賃金を支払うことで、より高いベビーシッティングを期待しようという考えです。

話が低俗な方向に行ってしまうかもしれませんが、例えば、公共施設や駅構内のお手洗いで良く見かける「いつも綺麗に使っていただき、ありがとうございます」というビラみたいなものでしょうか。

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まだお手洗いを使う前にも関わらず、感謝の気持ちを貰ってしまうと、無意識にその期待に応えようとしてしまうのが、人間の常です。

このイエレン氏の「Good Pay」という広告も、高い賃金を払うことによって、それに応えるような人間の無意識の行動を引き起こそうという考えだったと思います。

恐れ多いFRB議長のエピソードに対して、お手洗いの例で説明してしまった点は少々乱暴でしたが。。

さて、話を戻します。

このベビーシッターのエピソードは、その後の「賃金上昇によって労働者の生産性が向上し、会社の利益が増加するという」というイエレン氏の代表的な成果に繋がっています。


イエレン氏の経済政策

イエレン氏は「失業率と物価安定をもっと優先させるべき」というのが持論の経済学者です。そして、その方策として、上記のベビーシッターのエピソードのとおり、「給料をあげること」が最も良い手段ということのようです。

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つまり、
① 企業の給料をあげる
② その企業への求人倍率があがる
③ 労働者の働く意欲が上昇
④ 生産性の高い仕事が行われる
⑤ 企業の利益が上昇する
① そして、給料があがる

という正のスパイラルを生み出すことで、経済を良くして行こうという考えです。

もちろん、これを実現させるためには、まずは雇用、つまり失業率低下が必要です。
これはイエレン氏のコメントから分かります。

『雇用を守るのはFRBの仕事であり、FRBにはそれが可能である』

『多くの国民が仕事に就けず、家族の養育に不安を抱いている。我々はすべての人々が懸命に働く機会を獲得し、より
良い生活を送れるように援助することができる』


まとめ

イエレン氏は2013/11/15時点の現在、「量的金融緩和の縮小開始について明確に時期は決めていない」と名言しました。
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(14日、米上院銀行住宅都市委員会の公聴会で宣誓するFRBのイエレン副議長=ロイター)

「性急に金融緩和をやめれば高くつく」「ゴールは完全雇用だ」と発言していることから、しっかり米国の雇用率、失業率を見定めたうえで、金融緩和の出口戦略を判断しようという意図です。

こういった発言も、イエレン氏の雇用問題に関する過去のエピソードを紐解くと、意外にすんなり納得できます。

これからのイエレン氏の経済政策をみていくうえで、米国雇用統計と失業率低下のデータはキーポイントになると思います。

■Reference
次期FRB議長イエレン氏はどんな人?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37299

ジャネット・イエレンのベビーシッターは何故ハッピーか? 賃金のネチネチ問題と中央銀行の積極関与との関係
http://news.infoseek.co.jp/article/markethack_51895392

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