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10月、11月と言えば、学園祭の季節。様々な大学が1年間の集大成を発揮する場。
そんな中で、早稲田大学の学園祭が面白い。毎年16万人の集客、予算は2,500万、500人以上の運営スタッフ。
学園祭
これはもう一つのビッグビジネスと言っても過言ではないと思います。
・早稲田祭が他大学と大きく異なる点は?
・2,500万円の予算をどう集めるのか?
・500人以上のスタッフマネジメントは?
などなど、調べたことをまとめました。

学園祭について調べていた時に見つけたこの記事が面白い。
一大ビジネス?早稲田祭運営の舞台裏〜16万人集客、多額予算、企業並み学生スタッフ組織 (Business Journal)
早稲田祭運営スタッフの代表へのインタビューで、早稲田祭の舞台裏について詳しく書かれています。

この記事の中から、気になった部分を抜粋して紹介します。


早稲田祭が他の大学祭と大きく異なる点

まず、早稲田祭が他の大学祭と大きく異なるのは、主催者が大学側か学生側か?という点。

早稲田祭の場合は、その後者。

他大学の学園祭とは異なり、学生がイベント企画・準備、資金調達、当日運営をするという点が、大きな特徴です。

なぜ、全て学生側で実施するのか?

これには、早稲田祭運営代表がこう答えています。

早稲田祭は過去に、運営主体である学生らによる資金の不正流用や外部組織の介入などが発覚し、1997年から2001年まで中止されました。
02年に再開して以降は大学からの資金提供は一切受けず、学生が完全に主催・自主運営する形態を取っています。
他の多くの大学祭は、主催は大学で、運営主体である学生は大学から運営資金を提供してもらうかたちがほとんどですので、その点が私たちとの大きな違いです。

大学側は場所を提供しているのみで、学園祭で場所を借りる場合も、1件1件、大学側に許可を貰っているというのだから、驚きです。

完全に大学側と一線を引いていることが、良く理解できます。

でも、当日の運営資金は一体どうするのか?
2,500万円もの莫大な予算はどこから調達してくるのか?


2,500万の予算をどう集めるか?

1,000万円は、早稲田祭に参加する団体から「参加団体分担金」として徴収しているようです。

早稲田祭運営スタッフ代表コメント

一般的に他の大学の学園祭では参加団体補助金というのがあり、学園祭に出る団体に大学から補助金が下ります。
一方、早稲田祭には「参加団体分担金」という真逆の概念があり、早稲田祭に参加する団体にお金を払ってもらっています。

そして、企業協賛や渉外収入、OB・OG、地域から集める支援金で1,000万円。
(早稲田OB・OGからの支援金がそれなりの金額になりそうな印象です)。

さらに、運営スタッフ1人あたり9,000円の負担で、約500万円。

これで総計2,500万円を確保するとのこと。

簡単に書かれていますが、良くこれだけのお金を集めることができるなあ、と思います。

それはやはり16万人の集客ができること、
そして、それだけのハイクオリティーなコンテンツを毎年提供しているからでしょう。


500人以上のスタッフマネジメント

運営スタッフはすべて自主的に集ってくれた学生とのこと。
それだけの人数をどのようにマネジメントしていくのか?

企業と同じように組織を機能別の部署に分けるとのこと。

組織はまず8つの部署に分かれていて、1部署がさらにそれぞれおよそ4分割されており、各組織に責任者が置かれています。いわば小さな企業のような構造になっています。

まず、1月に行われる選挙で運営スタッフ全体の代表と8つの部署の責任者が決まります。
投票権は運営スタッフのみが持っていますが、外部の票が入ってしまうと、学生による健全な自主運営という観点から好ましくない組織が運営に介入する事態を招きかねないという理由で、投票権は内部のみに限定しています。
実際の選挙は、細則もつくってきちんとやります。

なるほど、各部署の責任者もしっかり選挙で決めるという徹底ぶり。
会社ではない以上、責任者となる代表に尊敬や人徳がなければ、仕事が進まなくなるもの。

やはり、人選にはそれ相応の時間と手間をかけるようです。

それにしても、1日2日のために、1年間の準備をするというのは、なかなかモチベーション維持が大変と想像できます。

私たちは社会人と違い報酬がないので、それを「やりがい」で担保しなければなりません。例えば、合コンは「楽しい時間」というリターンが明確ですよね。

運営スタッフもやりたいことをやるという点では同じですが、泥臭い仕事や雑用も多い。
「飲み会や合宿が楽しい」というだけでは人は残らず組織が持たないため、運営スタッフにいかに仕事にやりがいを持ってもらうかということを、常に意識しています。

ですので、運営スタッフにはいつも「少しずつ改善を重ねて、どんどん新しくしよう」「とことんこだわってプライドを持ち、そこに達成感とやりがいを感じよう」と言っています。

なるほど、この考え方はどんな環境でも通用すると思います。

学園祭のもう一つの楽しみ方

学園祭には、学生による様々なイベントを初め、お笑い芸人のコントやアーティストのライブなどもあり、それ自体が楽しいもの。

でも、当日の学園祭の運営スタッフのひたむきな行動、その真剣さに目を向けてみると、また違ったものが見えるかもしれません。

その日のために、1年間をかけて準備してきた学生達の想いを感じることも、また粋ではないでしょうか。

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