大晦日の紅白歌合戦と言えば、生演奏と生歌が特徴の歌番組でした。
そんな紅白歌合戦が昨年から、フルバンドの生演奏をやめ、事前に録音したテープに合わせて歌う「カラオケ」スタイルになっていたようです。
口パク組には有り難いこの状況、今回はその背景を含めて、まとめてみました。
音楽番組おける生演奏のハードル
我々が普段観ている音楽番組はそのほとんどがカラオケスタイルであることをご存知でしょうか。
それもそのはず、実は生演奏をするためには、それ相応の多大な準備が必要になるからです。
例えば、生演奏をするためには、以下のような事に留意しなければいけません。
■アーティスト毎に機材を準備する場合は、数週間前からの準備が必要になる。
■複数組のアーティストが同日に演奏する場合は、当日リハーサルだけでは済まない場合がある。
■上記の場合、アーティストの拘束時間が増え、ギャラが増加する。その結果、コストが増大する。
■リハーサルよりも本番で音量が上がりすぎてしまう。または音が痩せてしまうことがある。
■機器の故障で本番で音が出ないトラブルがある。
■ライブだとノイズや曲の乱れが出ることがある。
ライブハウスや音楽フェスに行くと分かりますが、機材のセッティングにはそれなりに時間を要します。
生演奏には、アーティストもスタジオも労力とコストがかかることになります。
そして、それだけ準備したとしても、機材トラブルやノイズなども発生するわけですから、CD売上を伸ばしたいレコード会社からしても、生演奏は望まないわけです。
そして、もちろん、テレビ曲運営側からすると、カラオケスタイルの方が、コストも削減できますし、運営も楽になります。
以上から、音楽番組の生演奏は、我々が想像している以上に大変なことと言えます。
生演奏を貫いていた紅白歌合戦
従来の紅白歌合戦は、別のスタジオでオーケストラが生演奏をしており、それを専用回線でスタジオに流していたようです。
以下は、2008年の『第59回 NHK 紅白歌合戦』における番組開始から1時間20分のトークコーナーでのやりとりです。
中居正広「ところで仲間さん、生放送でお送りしていますけどこの紅白、歌の伴奏は生演奏ってご存知ですか?」
仲間由紀恵「もちろんですよ。実は別のスタジオで生で演奏してらっしゃるんですよね」
中居正広「そのスタジオの前に香取君が居ます。香取くーん」
東京 NHK506スタジオから中継
香取慎吾「はーいこちら506スタジオに来ています香取慎吾でーす。
皆さんこちらで演奏されているんですね。
さっそくご紹介しましょう、『三原綱木(みはらつなき)とザ・ニューブリード』の皆さんでーす」
ということで、紅白歌合戦の場には、オーケストラがいませんが、生演奏であることには間違いありません。
紅白歌合戦がカラオケスタイルに変わった理由
しかし、そんな紅白歌合戦も2012年12月31日のからは、自前のバンドを入れる歌手以外は、事前に録音された音源をもとに歌う“カラオケ方式”に切り替わったとのことです。
フルバンド生演奏消え“カラオケ方式”/紅白
http://www.sanspo.com/geino/news/20121231/oth12123105010003-n1.html
これについて、NHKは以下のように公表しています。
「歌手が歌うバックの映像を歌に合わせて凝ったものにしているため、事前録音が適している」と判断した。
バックの映像を歌に合わせて凝ったものにしているため・・・
今更ながらその理由?NHKの演出効果は昔から凝ったものでしたよね?とNHKの説明には疑問が残りますが、おそらく、上述した生演奏によるコストの問題、当日のスムーズな運営などを加味した結果、カラオケ方式に切り替えたのではないかと推測しています。
いずれにしても、紅白歌合戦ですら、生演奏を取りやめるとのことなので、音楽番組における生演奏は相当ハードルが高いということが良く分かります。
ただし、自前でバンドを持ち込むアーティストはもちろん制限はしていません。
こんな状況です。紅白歌合戦で自前で生演奏、生歌を披露するアーティストには、全力で応援してあげましょう!!
(むしろ、私はバンド好きなので、この方が違いが分かって嬉しいです)
少なくとも私の好きなサカナクションは生演奏を披露してくれるはず!