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リーダーとマネージャーの違い、明確になっていますか?

ネット上で調べてみたものの、いまいち要領を得ない記述が多いなと思いませんか?

リーダーとマネージャーの違いとは?

それもそのはず、「私の会社では、リーダーは○○で、マネージャーは○○だ」というような会社独自の文化が色濃く反映されたものもあれば、「管理職をマネージャー」と呼んでいる事例もあったりします。

リーダーとマネージャーの違いは「プロジェクトマネジメント」の観点から考えると分かりやすいですので、この記事では他の記事とは少し異なる切り口で説明していきます。


日本企業で良くあるリーダーとマネージャーの誤解

マネージャーというと、日本企業で働く方はつい管理職をイメージですが、決してイコールではありませんので誤解をしないように気をつけてください。

マネージャーは「役割」であり、管理職(部長や課長、係長など)は「役職」であり、別次元のものです。

例えば、企業によっては全くの平社員がマネージャーを担うケースもあれば、何の役割もない「形だけの」部長代理や課長代理もいますよね?

さらに言えば、部長という管理職には部下の工数管理やリソース管理という意味で「マネージャー」の役割も求められますし、自分の部のビジョンを明確に打ち出し、部下を導く「リーダー」の役割も当然求められます。

なんだか混乱してきましたか?

それも当然です。そもそも、リーダーやマネージャーという用語は、プロジェクトマネジメントという概念から生まれてきた言葉であり、日本企業で良く見られる機能部門(開発部とか営業部)の役職にはそのまま当てはまらないのです。

そして、会社によってその使い方や解釈も異なるのが実態です。

ある会社ではリーダーとマネージャーの両方の役割を担っているのが「課長」と定義することもあるでしょうし、またある会社ではマネージャーが「課長」で課長代理が「リーダー」という定義をしたりしています。

では、結局、リーダーとマネージャーの違いとは何なのか?

ということで、この用語の起源となるプロジェクトマネジメントの観点から整理していきましょう。


プロジェクトマネジメントの観点で読み解くリーダーとマネージャーの違い

リーダーとマネージャーについてはネット上に色々な記述がありますが、自分の日本企業での経験や偉人の言葉を引用しているので誤解を生じやすい印象です。

その中でも、プロジェクトマネジメントについて研究されており、また企業のコンサルタントをされているこの方の言葉はまさに核心をついていると思います。

以下、引用させていただきます。

“プロジェクトリーダーはサイエンスを中心にプロジェクトをリードしプロジェクトの重要な意思決定を行い、プロジェクトマネジャーは複数部門のメンバーが混在して参加するプロジェクトを円滑に運営していくためにプロジェクトのコーディネーションや調整などのマネジメント的な役割を中心にやっていく補完モデルを作り上げている(イノベーションマネジメント株式会社 芝尾 芳昭)第21回 プロジェクトマネジャー(後編)

簡単に言うと、以下になります。

リーダーはチームの方針を決める。

マネージャーはリーダーが決めた方針を実現する。

飲食店で言えば、オーナーがリーダーで、雇われ店長がマネージャーでしょうか。

オーナーが出した「1年以内に売上と利益を1.5倍に増やしましょう、そのためには予算も1.5倍つけましょう」という目標に基づき、雇われ店長は増えた予算でアルバイトを増員したり、広告を売ったりし、集客するなどの施策を打ち、なんとか目標達成を目指す。こんな感じでしょうか。

視点を企業の中のあるプロジェクトチームに移してみます。

今から2年で新製品を開発しリリースするという方針をリーダーが決めるとします。

では具体的にどれくらいのプロジェクト予算が必要か?いつから必要か?

そのためにはどんなスキルを持ったチームメンバーが必要か?また何人必要か?そういったメンバーはいつから必要か?

あと2年というスケジュールは本当に実現可能なのか?

というようなこと考え、リーダーが示した方針をブレイクダウンして具現化していくのがマネージャーの役割です。

いかがでしょうか、リーダーとマネージャーの違いが明確になってきませんか?


偉人の言葉から読み解くリーダーとマネージャーの違い

最後に、偉人の言葉の中でも比較的分かりやすい言葉がありましたので紹介します。

“リーダーは建築家で、マネージャーは建築業者に例えられる(スティーブン・コヴィー)”

建築家というと、簡単に言うと設計図を書く人ですね。要はその建物の方針を決める人です。

そして、建築業者はその設計図を具現化するために、予算の見積もりをとったり、様々な下請会社に声をかけて契約して、目指す期間で作業を完了させます。

まさにマネージャーと言えます。

いかがでしょうか、リーダーとマネージャーの「役割」の違い、分かっていただけたでしょうか。

日本の企業では、役職とこの「役割(リーダーとマネージャー」をごっちゃにして使っていることが多いので気をつけてくださいね!

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