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「和食」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見込みとなりました(10/22 文化庁発表)。
ご飯

我らが日本人の「和食」がなにやら公的機関に求められたということで、ひとまず喜ばしいことです。
が、そもそも、無形文化遺産ってなんじゃらほい?という方も多いのでは?
ということで、早速調べてみました(単に自分が知りたいだけですが)。


無形文化遺産とは

無形文化遺産は、芸能(民族音楽・ダンス・劇など)、伝承、社会的慣習、祭り、伝統工芸技術などを対象としています。

有形の文化遺産については、1972年から世界遺産をリストアップするなどの保護の枠組みが整えられていました。

一方、無形文化遺産は2006年4月20日に保護の枠組みがスタートしていますので、比較的新しい取り組みと言えます。


国内での食に関する無形文化遺産は初めて

国内では2012年までに歌舞伎など21件が登録されていますが、食に関する無形文化遺産は、実は”初めて”のようです。

海外に目を向けると、フランスの料理や食文化、地中海周辺の料理、メキシコの伝統料理、トルコの麦かゆ食など4件が登録されていています。

今回の「和食」は5件目の登録ということになり、世界的に見ても、食に関してはこれからという感じでしょうか。

ちなみに、海外の4件の食の登録ですが、単に料理だけではなく、各地の伝統や儀式などとの関わりが評価されているようです。
ということは、今回登録された「和食」は何が評価されたのでしょうか?


登録されたのは、実は「一汁三菜」の食文化

今回登録された和食は、日本料理人の芸術とも言える「懐石料理」ではなく、実は一般庶民の「一汁三菜」の方です。

それもそのはず、そもそもの無形文化遺産のポリシーは、伝承や社会的慣習というところですので、料理の技術や芸術という点ではなく、日本人の食に対する考え方、接し方、伝統、文化、というところが評価された訳です。

以下の農林水産省の声明からも良く分かります。


農林水産省の声明

我が国には、多様で豊富な旬の食材や食品、栄養バランスの取れた食事構成、食事と年中行事や人生儀礼との密接な結びつきなどといった特徴を持つ素晴らしい食文化があり、諸外国からも高い評価を受けています。

一方で、世界では自国の食に関する分野をユネスコの無形文化遺産として登録する動きがあり、フランス美食術、地中海料理、メキシコ、トルコの伝統料理といった食文化が社会的慣習として登録されております。

日本の食文化については、世界的に見ても特徴的であり、これが無形文化遺産と認められることは世界の文化的多様性を豊かにすることともなり、非常に大きな意義を持ちます。

このようなことから、我が国においても日本食文化の無形文化遺産登録を目指し調査、検討を重ね、平成24年3月に「和食;日本人の伝統的な食文化」と題してユネスコへ登録申請を行いました。今後は、ユネスコの検討、審査を経て、平成25年12月に可否が決定される予定です。



立役者は、実は「懐石料理」の方

ということで、日本の庶民の食文化である「和食」が今回の対象なのですが、今回の立役者は、京都の割烹「菊乃井」主人で日本料理アカデミー理事長の村田吉弘さん、とのこと。

ちょっと思惑通りには行かなかったかもしれませんが、これをきっかけに懐石料理の方にもスポットライトが向けられていくことに期待したいですね。

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