デパートから贈り物をする際に必ず聞かれる「のし」の有り無し。
ちょっと改まった贈り物の際には、必ずのし紙をつけますよね。
ところで、この熨斗(のし)はどこから来ているのでしょうか?
熨斗(のし)の由来と起源を調べてみました。
起源は古代日本の時代
ことの起こりはずいぶん古く、古代日本まで遡ります。
当時の日本人の貴重な食料品の一つにあわびがありました(今も貴重ですが)。
まだ貨幣経済が発達していなかった頃、民衆はあわびを、干しあわびか蒸しあわびにして、税金として国家へ献上する義務を課せられていました。
いわゆる、国家への贈答品です。
これが贈り物の印にも使われるようになりました。
あわびからのしになった由来
あわびを天日干しにし、細長く削って平たい形にした、進物を包んだ紙に貼ります。
この細長く平たい形にするのを「伸す(のす)」ということから、「のしあわび」と呼ばれていました。
これが、室町の武家社会の時代に「のしあわび」と呼ぶことを煩わしく簡略して 「ノシ!」と呼ばれだし、いまのような「のし」という略称が定着したとのことです。
ちなみに、のしあわびは、伊勢神宮への供え物として、いまも作られて続けています。
古代から1500年余りも続いている、由緒ある贈り物です。
のしが不要な贈り物とは?
基本的には贈り物には、のしをつけますが、実はのしが不要なものがあります。
答えは、魚介類。
これはそもそも、のしが「のしあわび」から由来しているからです。
のしの習慣のはじまりは、室町時代にまで遡りますが、かつての贈り物と言えば、魚でした。
神に魚を捧げていたこともあり、贈り物は鮮魚でなければならなかったからです。
しかし、物資が豊富な時代になると、鮮魚以外のものが贈り物として幅を利かせてきます。
もらい馴れている魚よりも、ほかのものを贈れば喜ばれるのは当然。
とはいえ、伝統を重んずる日本人、「贈り物は魚」の概念を捨てきれず、形式として「のし」を残したということです。
まとめ
1. 貨幣経済が発達する前は、あわびを国家への贈答品としており、それが贈り物の印となった。
2. 贈り物の印にはあわびを使っており、伸したあわびの呼び名が簡略化され、「のし」になった。
3. 贈り物は古くは魚という概念があるため、魚介類の贈り物には「のし」は不要。
ということで、私たちが普段何気なく使っている「のし」は、古代日本から受け継がれてきた、贈り物の印だったのです。
こうやって昔からの伝統が今でも残っているのはなんだか嬉しいですね。
家族や友達に贈り物をする際には、こんな「のし」の由来を思い浮かべてみてはいかがでしょうか。